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消滅の危機にある言語って何だろう?

世界には消滅の危機にさらされている言語がある

●グローバル化が進む中、少数言語の消滅が世界規模で急速に進んでいます。世界には約6,000もの言語があるとされていますが、今世紀内にはその20~50%、最悪のシナリオでは95%までが話者を失って消滅すると推定されています。

●2009年のユネスコ(国連教育科学文化機関)の発表によれば、世界で約2,500の言語が消滅の危機にさらされているとの調査結果があきらかにされました。

●ユネスコは、全世界で6,000前後あるといわれる言語を調査。538種の言語が最も危険な「極めて深刻」なランクに分類されました。「重大な危険」が502語、「危険」が632語、「脆弱」が607語となっています。また、1950年以降消滅した言語が219語にのぼり、最近では2008年、米アラスカ州でイヤック語が最後の話者、マリー・スミス・ジョーンズの死亡で途絶えてしまいました。

Chief Marie Smith Jones
イヤック語の最後の話者、マリー・スミス・ジョーンズ(撮影:Natalie Fobes/Corbis)

●オーストラリアにおいては、英国の植民地化以前には先住民アボリジニの言語は、確認されているだけでも250以上あったとみられますが、その後は1年に1言語ずつ滅び、150の言語はすでに失われ、70の言語も絶滅は時間の問題だといわれています。

●インドのアンダマン・ニコバル諸島では、人類最古の文化の1つの「大アンダマン島人」と呼ばれるネグリート系先住民族が暮らしています。その中で「大アンダマン島人」の末裔の一つだと考えられている「ボ族」。人類最古の文化を伝える言語、ボ語(Bo)の最後の話者であったボア(Boa Sr)さんが2010年に死亡したため、ついにボ語は絶滅してしまいました。

ボ語の最後の話者、Boa Sr(撮影:Survival International



地球で最も急激に言語が消えている地域

言語が急激な絶滅の危機にある地域

最も急速に先住民の言語が消滅している地域(ナショナルジオグラフィック協会「Enduring Voices」より)

北部オーストラリア

1.北部オーストラリア
クイーンズランド、ノーザン・テリトリー、西部オーストラリアでは153の先住民の言葉があり、そのいずれもが絶滅の危機にあります。


中央部南アメリカ

2.中央部南アメリカ
アンデス山脈からアンデス盆地にかけてのエクアドル、コロンビア、ペルー、ブラジル、ボリビアでは、113の言葉が危機的な状態にあります。カラワヤ一族は日常的にはスペイン語やケチュア語を使っていますが、薬草などの名前などでは、かろうじて自分たち独自の言葉であるオリジナルの名前を用いています。


北アメリカ北西部太平洋高原

3.北アメリカ北西部太平洋高原
カナダのブリティッシュ・コロンビア州、アメリカ合衆国のワシントン州、およびオレゴン州では、およそ54の先住民の言語が絶滅の危機にさらされており、たったひとりしか話す人のいない言葉もあります。


東部シベリア

4.東部シベリア
この地域に含まれるのは、ロシア、中国、旧日本のそれぞれの一部だったところです。23の言語が残っていますが、侵略征服者たちの社会は支配的な言語の使用を少数集団である先住民たちに求め続けてきました。


南西部アメリカ

5.南西部アメリカ合衆国
オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州などでは、ネイティブ・アメリカンの40の言語がかろうじて残っています。その1つが「ヨーチ語」ですが、この言葉は他のどの先住民の言葉とも関連がなく、ヨーチ語の話者は僅か5人となっています。


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