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大人の方へ

指導者の方へ-方言学習の手引き

言語は人類にとって文化の産物であり、文化を形成する重要な一部分です。
言語の多様性が失われるということは、その地方の個々の風土・自然環境などを適切に表現する方法が失われるということにもなります。
単にその地方の文化が失われるだけでなく、認知科学や自然科学の研究にとっても大きな損害となり得ます。言語多様性の重要性について学び、考え、言語を文化遺産(知的遺産)として認識し、保全して行くことが重要です。

2005 年にユネスコによって策定された「国連ESD(持続可能な開発のための教育)の10年国際実施計画」によれば、環境・経済・社会の三分野は、文化の次元を通じて相互に結び付いており、持続可能な開発の基盤も文化の次元を通じて与えられるとしています。
さらに、考慮すべき戦略的観点の一つとして、文化多様性 と異文化間相互理解が挙げられています。持続可能な開発およびESDをめぐる国際的議論において、鍵となる概念が文化多様性なのです。

方言は地域に根ざした独自の言葉であり、方言を学ぶことは地域の伝統や習俗、言葉に表れた文化の独自性(=地域ごとに表れた文化の多様性)を保存・継承していくことに繋がっています。
一方で共通語を身に付けることは、より大きな集団の中で文化的な背景を異にする他者への理解を助け、双方のコミュニケーションを円滑なものとします。つまり、共通語と方言を使い分けることが出来るのであれば、母国語(=ローカル)と外国語(=グローバル)を理解するバイリンガルに匹敵する資質を有するに等しいと言えるでしょう。

国立国語研究所の木部暢子教授によれば『言語が思考と深く結びついていることを踏まえれば、方言の消失は思考の多様性の消失につながる。また、風景の画一化と同じで、ことばの画一化は人間文化の豊かさの消失につながる。方言の多様性を守る意義はここにある。
「方言よりも外国語を」という意見もあるが、母語としての方言の習得は、共通語学習や外国語学習を妨げない。むしろ、頭の中に作られた方言のひきだしは、それらの学習を助ける働きをする。』と述べられています。

ESD(持続可能な開発における教育)において、自身の所属する固有の文化・風土に誇りを持ちながら、他者の持つ文化の多様性を尊重し認め合うことが、最も重視されるべき要諦の一つとされています。
いま多くの地域で衰退し、消滅の危機に瀕している方言を学ぶことは、将来に亘って文化の多様性を保全する上でも重要な取組となるものです。

方言学習の実践におけるヒント

このサイトでは、「方言とは何か」をわかりやすく説明した上で、現在日本から消滅の危機にある8種類のことばに関し、現地の古老や地域のことばを後世に伝えるための取組などを取材した動画(ムービー)を紹介しています。
これは2009年にユネスコによって発表された、世界の絶滅消滅の危機にある言語約2,500語のうち、日本ではアイヌ語のほか、八丈方言、琉球列島の諸方言など8つのことばが消滅のおそれがあるとされたものです。
文字だけでは伝わりにくい、各地に残された地域固有のことばを、映像を通じて視聴することが可能です。
また、日常使われている言葉が、各地でどのように異なった言い方をされているのかを調べる「方言マップ」や、方言をもとにした「方言かるた」の紹介・作成コーナー、資料コーナーとして、方言に関連したサイトへのリンクページ、また、書籍を紹介するページを設けました。

これらは教材として、自分たちで調べたり、作って遊んだりしながら楽しく学べるよう構成致しました。
尚「方言マップ」「方言かるた」の作成にあたってはPDFファイルのダウンロード、用紙へのプリントアウトなどの作業が必要となりますので、大人の方には子どもたちへのサポートをお願い致します。
また、かるた作成にはハサミ等を利用した作業が必要となりますので、けがなどなさらないよう、十分ご注意下さい。
書籍紹介ページでは、読んだ本のコメントが記入できる欄を設けました。これは、本の感想や内容をコメントしてもらうことで、閲覧した方の書籍選択における参考となることを目的としています。このため、「ほかの人にも読んでもらいたい」という場合にコメントを入れてもらうようにして下さい。

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